株式講座
    2. ベトナム証券市場概要

    ■ ベトナム市場のヒストリー

     ホーチミン市証券取引所は、2000年7月28日に開所されました。開所当時は、2社(REE、SAM)でスタートしましたが、2006年1月に代表的企業であるベトナム乳業(VNM)の上場によって活況となりました。2006年11月には、WTO加盟決定、ブッシュ米国前大統領の証券市場訪問などで世界中から注目されました。これにより資金が世界から流入し、VN-INDEXは、2006年10月末の530Pから2007年3月12日には、過去最高値となる1,179.31Pの原動力となりました。その後、10月まで900Pから1,100Pで推移しましたが、中央銀行の証券担保融資規制による需給悪化や高インフレによる金利高騰懸念により、2008年初頭から一方的な下落となり、6月には360Pを付けてようやく底打ちして一息つきました。しかし、米国発金融危機によって、悲壮感がただより、2009年1月から2月には、投売り同然の状況に陥る最悪の状況に。その後、政府の金利支援政策(4%)、公共投資、個人所得税の延期・・等の経済対策が功を奏し、輸出分野は依然として厳しいものの、建設、建設資材や個人消費も堅調となり、先行き安心感によって、2月24日の最安値234.66Pから8月には500P台を回復しました。しかし、その後、脆弱な外貨準備高、ドン安、激しいインフレの悪循環を招き、金融引き締め政策を採る中で、2012年1月に332.28Pの安値を付ける。ようやく2月からインフレ収まり、金利低下によって上昇トレンド入りし5月に492Pまで戻すも500Pの壁は厚く、失速。実体経済の回復が鈍く、EU問題も重なり厳しい状況下で金融業界の大物(ACB銀行やサコムバンクと密接な関係を持つ大株主)であるキエン氏の逮捕により、一時、金融不安に発展。現在は、落ち着きを取り戻しているが、銀行の不良債権問題、実体経済に回復が見られず、市場のセンチメンタルは最悪の状態。

    ■ ベトナム証券市場の投資先分類

    (1)ホーチミン市場
     東証1部的な市場です。上場条件は、過去2年間の黒字と資本金800億VND(3.2億円程度)です。よって、流動性が高い銘柄や優良企業が多く、国内外のファンド組入れ対象となっております。

    (2)ハノイ市場
     東証2部的な市場です。上場条件は、過去1年間の黒字と資本金100億VND(4,000万円程度)です。よって、全体的に小型銘柄中心です。このため優良銘柄もありますが、流動性の低く、一日の値幅制限もホーチミン市場よりも広いため、投機狙いのベトナム個人投資家中心の市場です。

    (3)ハノイ市場における店頭株式取引市場(UPCoM)
     これまで、ベトナムの未公開企業(OTC銘柄)は、市場外の相対取引で売買されていました。しかし、決済トラブルなどが多発し、早期の市場集中が急務となってました。ようやく2009年6月に取引登録企業10社で未公開株式市場がスタートしました。原則的に株主数100名以上の一般企業は、2009年内に取引登録する必要があります。しかし、様々な問題(取引方式、保管センターの対応能力、値幅制限・・など)によって、取引登録が進んでおりません。すべての一般企業が登録されるなら、1,000銘柄以上になります。

    (4)場外の未公開市場(OTC)
     正式市場の未公開株式市場(UPCoM)が実質的に機能していないため、OTC銘柄に投資するには、場外で取引するしかありません。2006年-2007年前半にかけて銀行株を中心として狂気的な急騰を続けていましたが、その後の需給悪化と資金ショートによって、2008年にはほとんど売買がない状況に陥りました。現在もほとんど流動性がない状態が続いております。

    (5)国営企業の株式化に伴う公募競売(IPO) 
     政府は積極的に国営企業の株式化を推進しており、既に2,000社以上が株式化されています。株式化には、発行済み株数の20%以上を一般株主が保有する必要があります。よって、株式化に向けて、公募競売によって株式を放出します。これが、IPO競売と呼ばれるものです。(日本でのIPOとは、一般的に新規上場ですが、ベトナムでは新規一般公開です)

     2007年初頭までは、優良企業を安値で投資できるチャンスがありました。しかし、その後、IPO競売は、宝の宝庫であることがベトナム人に浸透してしまいました。これにより、大手有名企業の競売に1万人が殺到するなど、株価理論をはるかに超えた落札企業が続出しました。その後、これら企業(ベトコムバンクなど)は、上場しましたが、未だに落札平均価格以下で低迷しています。

     現在の競売数は、毎月1件弱程度と少なく、活況ではありません。もし、優良株があるなら、収益チャンスがあるかもしれません。しかし、上場予定がないと出口戦略が採れませんので注意が必要です。

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